板金修理

自動車板金塗装

《板金修理の工程例》 

凹んでいる自動車のフロントフェンダーです。交換されてしまって要らなくなった
ものを叩いて板金修理してみました。
ここではハンマーとドリーを使った基本的な板金修正の手順を紹介してみ
ました。凹みとしては板金修理しやすい凹みだと思います。
1 凹んでしまったフェンダーのアーチ部分です。
2 板金用のならしハンマーと呼ばれる道具を使って凹みの周辺の盛り上がっている部分を叩きます。(フェンダー単体で説明していますが、実際は車両に取り付いた状態の方がやりやすくなります。)
3 表からハンマーで叩くときには裏側の膨らんでいる部分にドリーと呼ばれる道具を手でギュっと力を掛けながら押さえておきます。このときハンマーとドリーはお互いに叩き合わないような状態でずらした位置での叩き作業となります。
裏側からドリーによって押し出す力が掛かっている状態で表面の盛り上がっている部分を叩くと打撃力で低くなり、逆に凹んでいた部分はハンマーの打撃の反動で次第に盛り上がってきます。
凹凸があるところを順次、周りの方から繰り返しハンマーで叩いていきます。(凹みが大きい間はハンマー打撃力も多少大きくして叩きます)
何回も繰り返していくと凹凸が徐々に小さくなっていきます。ドリーの大きさよりも小さい凹凸になったら凸部の真下にドリーを当てて挟み込むような感じでハンマーで叩きます。このとき゛カキンッ"という金属音が出来るだけ出ないように叩きます。゛カキンッ"という音が出ると鋼板を叩き潰してしまい、伸びて広がってしまうので注意します。
凹凸の大きさが小さくなってきたら叩き始めの時よりも叩く力を弱めていきます。裏側からのドリーの強さもこの辺りでは突き出すような力ではなく、抑える程度になっています。
凹凸を小さくすると同時にアーチ部分のプレスラインも叩いて戻していきます。
仕上がっていくと凹凸が小さくなるので凹凸の状態を判断しやすくするために手袋をはめた手で触ったり、光を当てながら細かい凹みを探して丁寧に叩いていきます。
10 凹凸が小さくなったので、目視でハッキリと凹凸が判断しやすいようにサフォーム掛けと呼ばれるヤスリのような道具を使って塗装表面を軽く削ります。
11 サフォーム掛けを行うと更に小さな凹凸が見えてきました。
12 ここからもハンマーとドリーを使って出来るだけ緻密に凹凸を修正していきます。
13 ここから先をもっと丁寧に整形して叩き作業だけでほぼ完全に表面を元通りに戻す凄い職人さんもいらっしゃいますが、管理人の私は未熟なのでこの辺からパテに頼りたいと思います。(いつかはパテを使わないような修理をやってみたいです・・・)
14 塗装面は叩いているので傷が入ったり、ひび割れたりしているので叩いたところは60番から80番くらいの研磨目を持ったサンダーを使って綺麗に塗装膜を剥がして荒削りします。
15 更に120番ほどの目を持ったサンドペーパーで表面の傷を小さくして鋼板の素地表面を整えていきます。
16 鋼板の素地表面の整え作業と同時に周りの部分を広めに研磨してパテがくっつきやすいように「足付け」と呼ばれる処理を行います。
17 削った塗装面の境目には段差が出来るので、この部分は「フェーザーエッジ」と呼ばれる処理方法で段差が出ないように傾斜を付けた処理を行います。
18 足付け作業とフェザーエッジの処理が終わったらエアーダスターガンと呼ばれる空気を噴出させる道具でホコリ、チリなどを吹き飛ばし、その後にシンナーに似た揮発性の高い「シリコンオフ」と呼ばれる溶剤を使って脱脂します。
19 これがパテの材料です。2液タイプなので主剤と呼ばれるパテの材料に、硬化剤と呼ばれる材料を重量比でおおよそ100:3の割合で混ぜ合わせます(卵1個分くらいの主剤に対してパチンコ玉くらいの硬化剤の割合を目安にします)。混ぜ合わせた瞬間から硬化が始まるのでヘラで素早く均一に混ぜ合わせなければなりません。
20 パテが硬化していないうちにまずは鋼板表面に薄く詰め込むように塗ります。
21 薄く塗ったらすぐにその上からまた塗りますが、このときはちょっと厚めになるように塗ります。このとき、ある程度フェンダーの形の通りにパテを塗っておくと形が整えやすくなります。
22 20分から30分ほどしたら乾いて硬くなるので、80番くらいのサンドペーパーを使って表面を整えます。
23 形を手で触って確認しながらパテを研磨していきます(研磨始めは形が荒いのでとにかくゴツゴツした状態が無くなる様に削っていきます)。
24 手で触って全体的に形が整うまで繰り返しパテを塗っていきます。形が分かりにくいときはハンマーを持つ手とは逆の手に軍手をはめて触ると形がより一層判断しやすくなります。また、目視で分かり易くするには黒い缶スプレーなどを表面に軽く吹きつけてペーパーで軽く研磨すると凹凸の判断がしやすくなります。ただし、整形後は塗料を剥がしておきます。
25 次にペーパー傷や巣穴が発生したままなので、今度は240番くらいの目のペーパーで軽くパテ表面とその周辺を研磨します。
26 最初にパテを塗ったときの研磨面積より少し広め(基本的に80番ペーパー目などの深い傷の上を研いでおく)に240番で研磨します。
27 今度は傷や巣穴を埋めるための柔らかいパテ(ポリパテと呼ばれる)を始めに使ったパテと同じ混合比で混ぜ合わせます。
28 最初のパテでだいぶ形が出来ているので、その形に合わせながら出来るだけ薄く塗っておきます。
29 乾いたら120番くらいのサンドペーパーで研磨し、仕上がっていくにしたがってサンドペーパーの目を180番、240番へと変えていきます。
30 最後は240番のサンドペーパーで仕上げます。このときまだ大きな傷や巣穴が残っているようだったら再度柔らかいパテをヘラでしごくようにして必要な部分に埋めて消していきます。
31 形が出来上がったらサフェーサーと呼ばれるカラー塗装の前に塗る塗装を行うため、320番ペーパーを使ってパテの形を崩さないように注意して深い傷を消すように研磨します。
32 サフェーサー塗装の下処理研磨が済んだら次にエアーダスターガンで埃を吹き飛ばしてシリコンオフで脱脂した後、マスキングと呼ばれる作業に入ります。この作業は塗料が他の範囲まで付着するのを防ぐために、塗装する範囲の周辺を紙(新聞紙を使ってます)で被います。
33 紙は裏返しに反転させて境目に丸みが出来るように貼り付けます。
34 上側と右側に紙を貼りました。
35 サフェーサーを準備します。
36 準備したサフェーサーをスプレーガンの中に移しますが、このとき異物が入り込まないように「ヨシノ紙」と呼ばれる紙で塗料を濾しながら入れていきます(異物がスプレーガンの中に混入すると、先端部分で詰まって正常な吹きつけが出来なくなります)。
37 塗装表面のチリやホコリをスプレーガンで、ある程度吹き飛ばしておきます。
38 まず1回目としてパテの塗られている中央付近を軽く塗装します。まだ全体を塗りません。
39 2回目は1回目の塗装より少し広めに塗ります。
40 3回目でパテが付いていた部分が全部隠れるように塗装します。
41 マスキングで被っていた部分の境目には、サフェーサー塗装による膜の段差ができないようにしてあります。
この状態でサフェーサー塗装は完了です。
42 サフェーサーが乾いたらゴムヘラに耐水ペーパーの600番から800番ほどを敷いて水を掛けながら表面がツルツルになるように研磨します(サフェーサーを剥がしてしまわないように注意します)。
43 サフェーサーの境目も手の平で触って違和感がないように丁寧に研磨します。
44 サフェーサーの部分が綺麗に整ったら今度は周りの他の部分を「スコッチブライト」(キッチン用の食器洗いスポンジの裏に付いているガサガサになっている部分のようなもの)で水を使いながら艶が無くなるまで磨きます。
45 フェンダー全体をタオルや雑巾で綺麗に拭いて水分を取り除いた後、完全に乾いた状態で表面に艶が無くなって白っぽくなっていれば完了です。艶がまだ所々残っているようだったら繰り返し「スコッチブライト」で磨き作業を行います。この後はカラー塗装へと進んで行きます。